インターネットの掲示板やSNSでは、「津波の夢を見た数日後に現実の地震が起きた」「これは予知夢に違いない」といった報告が後を絶ちません。しかし、認知心理学や確率論の観点から検証すると、予知夢の真相には明確なカラクリが存在します。
人間は一晩でおよそ4回から5回、年間にして1,500回以上もの夢を見ています。世界人口や日本国内の人口規模を考慮すれば、毎日数千万人が何らかの夢を見ている計算になります。統計学者ケンブリッジ大学のリトルウッド教授が提唱した「リトルウッドの法則」によれば、100万回に1回しか起きないような驚くべき偶然の一致であっても、日常の膨大な試行回数の中では「月に約1回の頻度で誰の身にも起こり得る」と証明されています。
さらに人間の脳には、無数の外れた夢の記憶は綺麗さっぱり忘れ去る一方、偶然にも現実のニュースと重なった夢の記憶だけを強烈に結びつけて記憶を補正する「確証バイアス」が強力に働きます。また、睡眠医療の専門家は、心拍数の上昇や寝室の気温上昇、身体の締め付けといった生理的負荷がレム睡眠時に「追われる夢」や「天変地異の夢」をトリガーしやすい事実を指摘しています。つまり、予知夢が的中したように思える事象の99.9%以上は、超常現象ではなく、膨大な試行回数の中で発生する数学的必然と記憶の錯誤によって説明がつきます。