ぬらりひょんという存在の本質を理解する上で外せないのが、若きエンマ大王との複雑な主従関係と、先代閻魔大王から託された使命の重さです。映画第2作『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』において、ぬらりひょんは人間と妖怪の交流を全面的に禁止し、人間界を滅亡させようとする冷酷な黒幕として描かれました。しかし、その動機は私利私欲による反逆ではなく、妖魔界の崩壊を防ぐための「過剰なまでの防衛本能」に根ざしていました。
当時の設定資料や関係者の証言によると、ぬらりひょんは先代閻魔大王が人間界のインフルエンザ(妖怪にとっては死に至る重病)によって命を落としたと信じ込まされており、「未熟な若き大王を守り、妖魔界を絶対不可侵の聖域として維持すること」こそが自身の至上命題であると思い詰めていたのです。つまり、エンマ大王を幽閉した行為はクーデターではなく、忠臣としての義務感の暴走でした。
重厚かつ気品あふれるキャラクターボイスを担当したのは、名声優の子安武人氏です。冷徹な官僚としての硬質な声色から、大義のために怪物の姿へと身を堕とす悲壮感、そしてエンマ大王の器の大きさに心服した後の真摯な忠臣としての声色まで見事に演じ分け、キャラクターの人気を不動のものにしました。