彼の俳優人生を語る上で欠かせないのが、鬼才・今村昌平監督との出会いだ。『盗まれた欲情』や『豚と軍艦』をはじめとする一連の作品で、彼は二枚目の殻を完全に脱ぎ捨て、人間の欲望や泥臭さを容赦なく晒け出すリアリズムへと開眼する。
特に横須賀の米軍基地周辺を舞台にした『豚と軍艦』での演技は圧巻だ。ヤクザの末端で愚直に生き、翻弄され、傷ついていく青年の姿を、血が通った圧倒的な生々しさで演じ切った。画面狭しと豚が暴走する伝説のクライマックスシーンにおいて、彼の叫びと眼差しは、戦後日本の混沌そのものを象徴していた。