『ギャグマンガ日和』が単なる一過性の流行で終わらず、2020年代半ばを過ぎても読者の心を掴んで離さない最大の理由は、「徹底的に無駄を削ぎ落としたテキストの密度」と「権威の徹底的な脱構築」にあります。
作者である増田こうすけ氏の持ち味は、絵画的な誇張表現だけに頼るのではなく、登場人物たちの偏執的かつ理不尽な会話劇です。登場人物たちは一見すると真面目に状況を打開しようとしているものの、些細な見栄や卑屈な自尊心から事態を破滅的な方向へと加速させていきます。この「認知の歪みが引き起こす自滅の連鎖」こそが、読者に予測不能な笑いをもたらす核心です。
また、セリフの文字数が一般的なギャグ漫画の倍近くに及ぶコマ割りも特徴的です。独特のフォント使いやトーンによる心理描写、そしてコマの隅に小さく配置されたツッコミの一言が、読者の視線を誘導しながら二重三重の笑いを生み出す職人技が凝縮されています。