リニューアルプロジェクトにおいて最大の転換点となったのが、アジア競技大会の開閉会式および陸上競技メイン会場の計画変更です。この変更理由について、ネット上では様々な憶測が飛び交いましたが、実際の要因は複合的な構造問題にあります。
第一の要因は、世界的なインフレと円安による建設資材費・人件費の記録的な高騰です。当初試算されていた整備費から大幅な予算超過が見込まれたため、名古屋市と大会組織委員会は徹底したコスト圧縮(バリューエンジニアリング)を迫られました。
第二の要因は、国際大会仕様に求められる仮設スタンドの増設・撤去コストの非効率性です。一時的なメガイベントのために過大なキャパシティを急造するよりも、既存の豊田スタジアム(豊田市)を有効活用するほうが財政的・環境的にも合理的であるという冷徹な行政判断が下されました。これにより、パロマ瑞穂スタジアムは「過度な肥大化」を避け、後世の市民利用やプロスポーツ興行に最適化されたコンパクトで機能的なスタジアム設計へと舵を切ったのです。