2010年、竹浪氏が設立した竹浪比呂央ねぶた研究所は、伝統的な徒弟制度に甘んじていたねぶた界の構造に新風を吹き込みました。設立の狙いは極めて明快で、「ねぶたを真夏の1週間だけで終わらせず、年間を通じて鑑賞される普遍的なアートへ昇華させること」、そして「次代を担う若手ねぶた師を組織的・継続的に育成すること」でした。
同研究所では、インテリア照明や商業空間のモニュメント、ホテル(星野リゾート等)の空間演出を手掛ける「Nebuta Style」など、新たなブランド事業を次々とローンチ。大型ねぶたの廃材となった和紙を用いたエシカルなプロダクト制作や、美術館・ギャラリーでの竹浪比呂央の展覧会を定期開催し、ねぶたを現代アートの文脈で再定義しました。
特筆すべきは、竹浪比呂央の弟子たちの目覚ましい成長です。研究所に所属する手塚茂樹氏や野村昂史氏といった俊英たちは、竹浪氏の薫陶を受けながら基礎技術と独自の美意識を磨き、すでに大型ねぶたを任される気鋭の制作者としてデビューを果たしています。自らの技術を秘匿せず、オープンかつ論理的に後進へ伝承するオープンイノベーション型の制作体制こそ、竹浪氏が築き上げた最大の功績と言えるでしょう。