Mr. Big『トゥ・ビー・ウィズ・ユー』全米1位の真相と奇跡の誕生秘話

Mr. Big『トゥ・ビー・ウィズ・ユー』全米1位の真相と奇跡の誕生秘話

話題沸騰中の Mr. Big『トゥ・ビー・ウィズ・ユー』全米1位の真相と奇跡の誕生秘話について、詳しいまとめをご紹介しています。

1991年、MR.BIGは2ndアルバム『リーン・イントゥ・イット(Lean Into It)』を世に送り出しました。ベースのビリー・シーン、ギターのポール・ギルバートという技巧派ツインプレイヤーを擁し、ボーカルのエリック・マーティン、ドラムのパット・トーピーが鉄壁のリズムとソウルフルな歌声を響かせるこのバンドは、日本を筆頭とするアジア圏で凄まじい熱狂を巻き起こしていました。しかし、本国アメリカにおける状況は決して安泰とは言えませんでした。

当時のアメリカの音楽シーンは、ニルヴァーナの歴史的名盤『Nevermind』がリリースされ、これまでのハードロックやヘアメタルが一掃される「グランジ革命」の激震に見舞われていた時代です。所属レーベルのアトランティック・レコード社内でも、MR.BIGの先行ハードロックシングルがビルボードの上位に食い込めず、関係者の間では「次のシングルで結果が出なければ契約打ち切りもあり得る」というシビアな空気すら漂っていました。

窮地に立たされていたバンドを救ったのは、緻密なプロモーション戦略ではなく、ネブラスカ州リンカーンにある小さなローカルラジオ局でした。アルバムのラストトラックとしてひっそり収録されていたアコースティックナンバー「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」をあるDJがオンエアしたところ、リスナーからの問い合わせ電話が鳴り止まない事態が発生したのです。

口コミとリクエストの熱波は瞬く間に近隣の州へと飛び火し、ラジオ局のディレクターたちがこぞってヘビーローテーションを開始しました。事態の急変を察知したアトランティック・レコードは、急遽この曲を正式シングルとしてカットすることを決定。1991年末からチャートを急上昇した楽曲は、1992年2月後半、ついにビルボード「Hot 100」の1位へと上り詰め、3週連続でその座を死守しました。超絶技巧ハードロックバンドが放ったアコースティックナンバーが、バンドの存亡を賭けた危機を一夜にして救い出したのです。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。