秋の花粉症対策を難解にしているのは、ブタクサの近縁種や同時期に飛散する他のキク科植物の存在だ。とりわけ現場で混乱を招きやすいのが「オオブタクサ」と「ヨモギ」である。秋の花粉症の原因植物の見分け方をマスターするには、これら2種の性質も正確に把握しておく必要がある。
まず、ブタクサと並ぶ巨大アレルゲンとして警戒されるのがオオブタクサ(別名:クワモドキ)だ。通常のブタクサが草丈1メートル前後であるのに対し、オオブタクサは肥沃な土壌で急成長し、草丈3〜4メートルにまで達する。この巨大な姿ゆえに、同じく高所まで伸びるセイタカアワダチソウと混同されやすい。しかし、オオブタクサとセイタカアワダチソウの違いも葉を見れば歴然としている。オオブタクサの葉はクワの葉やモミジのように大きく3〜5つに深く裂けており、大人の手のひらよりも大きい。茎には粗い毛が密生しており、緑色の花穂から大量の風媒花粉を散布する。
次に、日本古来の野草であるヨモギとブタクサの見分け方だ。ヨモギもまた風媒花であり、9月から10月にかけてブタクサと全く同じ時期に強力なアレルゲン花粉を飛散させる。草丈や生息環境、葉の切れ込み具合もブタクサと似通っているため識別が難しいが、決定的な違いは葉の裏側にある。ヨモギの葉の裏には白い綿毛が密生しており、白っぽく銀色に輝いて見える。また、葉を指ですり潰すと草餅でおなじみの清涼感ある強い芳香を放つ。ブタクサの葉裏は緑色であり、揉んでも特有の爽やかな香りは生じない。
医療現場においてこれら風媒花が警戒される理由は、ブタクサ花粉症の症状が持つ特有の凶悪さにある。春のスギやヒノキ花粉の粒子サイズが約30〜40マイクロメートルであるのに対し、ブタクサ花粉は約20マイクロメートルと非常に微小である。このため、鼻腔や喉の粘膜だけでなく、気管支や肺の深部にまで花粉粒子が直接侵入しやすい。結果として、くしゃみや鼻水にとどまらず、息苦しさや激しい咳、喘息発作(ブタクサ喘息)を引き起こすリスクが極めて高いのだ。