近年、日本心理学会の学術大会や関連文献においても、こうした都市型の対人距離トラブルや空間コミュニケーションに関する研究が注目を集めている。行動心理学や社会心理学のフレームワークを用いることで、トナラーの行動はより客観的に整理されつつある。
社会心理学の研究が指摘するのは、「基準点依存」と「省力化バイアス」の存在だ。人間は広大な何もない空間において、無意識に基準となる物体を探す。駐車場で隣に車を停める行為は、空間認知の負荷を減らすための無意識の「ガイド」利用に過ぎないという分析だ。本人にとっては効率的な行動が、周囲にとっては迷惑行為となる典型例である。
また、対人不安や孤独感が強い人物が、他者との距離を縮めることで無意識に安心感を得ようとする「心理的近接欲求」の分析も進んでいる。行動心理学者らの最新の見解によれば、トナラーの多くは悪意を持って嫌がらせをしているのではなく、自身の認知癖や空間把握能力の特性によって結果的に相手を追いつめている可能性が高い。