日本国内では「ドンキ」の愛称で親しまれているが、香港、シンガポール、台湾、タイなどの海外進出店舗に足を運ぶと、看板には「DON DON DONKI」という見慣れない屋号が掲げられている。漢字表記としては「唐吉訶徳」が併記されるものの、アルファベット表記が二重に重ねられている理由は何なのか。
このブランディングには明確な商業的理由が存在する。2017年にシンガポールへ初進出を果たした際、現地に既に類似の名称を冠した別企業が存在していたことから商標の重複を避ける必要が生じた。そこで、店内でおなじみのテーマソング「ミラクルショッピング」のキャッチーなフレーズ「ドンドンドン、ドンキ〜」のリズムをそのままブランド名として採用する決断を下したのだ。
さらに興味深いのは、日本国内と海外店舗におけるポジショニングの違いである。
日本国内のドン・キホーテが「掘り出し物の安売り店」「深夜営業の何でも屋」という泥臭くカオスな魅力を武器にしているのに対し、アジア各国に展開するDON DON DONKIは「高品質な日本産生鮮食品や本物の日本カルチャーが手に入るプレミアム・スペシャリティストア」としての地位を確立している。和牛や日本のイチゴ、新鮮な刺身が整然と並び、現地の富裕層やアッパーミドル層がこぞって訪れる高付加価値スポットへと変貌を遂げているのだ。