朝日新聞の慰安婦問題とは何だったのか|吉田証言誤報と日韓への傷痕

朝日新聞の慰安婦問題とは何だったのか|吉田証言誤報と日韓への傷痕

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ジャーナリズムとしての致命傷となったのは、裏付け取材(ウラ取り)の欠落と、意図的とも受け取られかねない概念の混同でした。

吉田証言の信憑性については、早くも1989年に現代史研究家の秦郁彦氏が現地・済州島へ渡り、住民や地元郷土史家への綿密な聞き取り調査を実施したことで、完全な虚構であることが暴かれていました。現地関係者は一様に「そんな事件は一切起きていない」「島民全員が知るはずの事件を誰も知らない」と証言し、吉田氏の著述は創作であると断定されました。産経新聞など他メディアがその破綻を相次いで指摘する中、朝日新聞は1997年3月31日付の特集記事で「真偽は確認できない」と書いたのみで、訂正や謝罪を拒絶し続けたのです。

また、歴史的事実の伝達において見過ごせないのが「女子挺身隊」と「慰安婦」の混同経緯です。女子挺身隊は、国家総動員法に基づいて女子を軍需工場などの労働力として勤労動員した公的制度であり、戦地で性業務に従事させられた慰安婦とは法的位置づけも実態も全く異なるものでした。朝日新聞はこの2つを同一視し、「挺身隊の名のもとに慰安婦にさせられた」というナラティブを長年拡散させました。

結果として、勤労動員に応じた一般の朝鮮人女性までもが戦後に「元慰安婦ではないか」という偏見の目に晒される二次被害を生み、日韓双方の国民感情を回復不能なレベルまで悪化させる要因となりました。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。