ネット上で流布している「映画イラストにまつわる安全神話」には、知財法務の観点から見て危険極まりない誤解が多数含まれています。特に注意すべき2大盲点を浮き彫りにします。
盲点1:「パロディ・オマージュなら日本の法律でも保護される」という誤解
欧米の一部の法体系(アメリカのフェアユース規定やフランスのパロディ例外規定など)と異なり、現行の日本著作権法には明文のパロディ免責規定が存在しません。どれほど愛情や敬意(リスペクト)を込めたオマージュ作品であっても、権利者が訴えを起こせば翻案権侵害として違法判決が下されるのが日本の法解釈の原則です。「リスペクトがあればセーフ」という言説は、法的根拠のない極めて危ういネット上の思い込みに過ぎません。
盲点2:「AI生成で作った映画イラストなら著作権フリーで商用可能」という罠
画像生成AIに「有名映画のタイトルや監督名」をプロンプト(指示文)として入力し、出力されたイラストを商用利用するケースが急増しています。しかし、文化庁が策定した「AIと著作権に関する考え方について」が示す通り、生成物が既存の映画作品と「類似性」および「依拠性」を有している場合、AI生成物であっても通常の著作権侵害と同様に責任を問われます。実在の映画を想起させるプロンプトを使用した生成物は、商用メディアにおける最大の地雷となり得ます。