金属の塗装を長持ちさせるためには、素材のコンディションを塗料が食いつきやすい状態へと整える一連のプロセスを踏まなければなりません。特にサビが浮き出た鉄製品を再生する場合、以下の手順を忠実に守ることが最優先事項です。
第1ステップは、徹底的なサビ落とし(ケレン作業)です。浮き上がった赤サビは内部まで腐食が進んで脆くなっているため、上からどれほど高級なペンキを重ねても下地ごと崩壊します。ワイヤーブラシやスクレーパーでボロボロと崩れるサビを削ぎ落とし、頑固な部分は#80〜#120程度の粗目サンドペーパーで金属の地肌が露出するまで磨き上げます。これが鉄のサビ落とし塗装手順における最重要工程です。
第2ステップは、塗料の食いつき面を作り出す「足付け」です。新品の金属板やサビのない滑らかな面であっても、あえて表面に無数の微小な傷を刻み込むことで、塗料が入り込むアンカー効果を人為的に発生させます。現場で推奨される金属塗装の足付け番手は、ナイロンタワシまたは#320〜#400の耐水ペーパーです。粗すぎると仕上がりの艶にペーパー傷が浮き出てしまい、細かすぎると十分な投錨効果が得られません。全体が均一に曇りガラスのような艶消し状態になるまで、くまなく研磨します。
第3ステップは、削り粉と油分を根こそぎ取り除く清掃工程です。ここで正しい金属塗装の脱脂やり方を実践できるかどうかが寿命を決定づけます。研磨粉を清掃用のウエスで拭き取った後、市販のシリコンオフや脱脂用変性エタノールを清潔なウエスに染み込ませ、表面を往復させずに一方向へ拭き上げます。家庭用の中性洗剤で水洗いする手法もありますが、水分の乾燥不足が新たなサビを呼ぶリスクがあるため、乾燥が早く油分溶解力の高い溶剤系脱脂剤の使用が安全です。脱脂後は素手で触れると手のひらの皮脂が再付着するため、作業時は必ずニトリル手袋を着用します。