日本国内でも、災害時の避難所生活や車中泊に伴う急性塞栓症のリスクが深刻な社会問題となっている。熊本地震や能登半島地震などの被災現場では、避難生活における水分補給不足や不活発な環境が血栓症を頻発させた。これを受け、厚生労働省は避難所における血栓症予防の啓発チラシ配布や弾性ストッキングの普及を急ピッチで進めてきた背景がある。
医療現場の指針となる日本循環器学会のガイドラインも改訂を重ね、迅速なリスク評価アルゴリズムが整備されている。早期のD-ダイマー血液検査や造影CT検査の迅速化により、見逃されがちだった軽症・中等症の段階で確実な治療介入が行える体制が整いつつある。