押切蓮介作品の実写映画化は、漫画原作映画の中でもひときわ強烈な存在感を放っています。その筆頭が、鬼才・内藤瑛亮監督がメガホンをとった2018年公開のミスミソウ 実写映画と、Jホラーの旗手・白石晃士監督によって映像化された2026年のサユリ 映画化です。
『ミスミソウ』は、閉鎖的な雪深い村を舞台に、陰湿ないじめの標的となった少女・野咲春花が家族を焼き殺されたことを機に復讐鬼へと変貌していく物語。純白の雪景色と鮮血のコントラスト、凄惨極まるバイオレンス描写を妥協なく実写に落とし込み、観客の心に強烈な爪痕を残しました。単なる残酷描写にとどまらず、思春期の少年少女が抱えるやり場のない孤独や狂気を浮き彫りにした演出は、国内外の映画祭でも高く評価されています。
一方、映画関係者やファンの間で「ホラー映画の常識を覆した」と絶賛されたのが映画『サユリ』です。夢の一戸建てに引っ越してきた神木家を次々と怪奇現象が襲い、家族が凄惨な死を遂げていく前半の純和風ホラー展開から一転、生き残った少年と認知症を患っていたはずの祖母が「命を濃くして怨霊をぶっ殺す」という驚愕の反撃に転じる後半の構成が見事に映像化されました。
白石晃士監督は公開当時の特番インタビューにおいて、「押切先生の原作が持つ『人間が持つ剥き出しの生命力で理不尽な怪異を粉砕する』という本質を何よりも大切にした」と証言。絶望に打ちひしがれるだけのホラー映画とは一線を画す、圧倒的な前向きさと爽快なカタルシスが観客を魅了しました。