男性が女性ホルモンを投与した際に「顔つきが劇的に変わった」と感じられる主たる要因は、骨格そのものが変化したからではありません。成人男性の頭蓋骨や下顎骨はすでに骨癒合を完了しているため、薬剤によって骨が小さくなることは構造上あり得ないからです。実際の顔つきの変化は、皮下脂肪の沈着パターンと皮膚組織の質感変化によってもたらされます。
エストロゲンの作用によって頬骨周辺やこめかみ、顎周りに適度な皮下脂肪がつき、男性特有のエラや眉間のゴツゴツとした陰影が覆い隠されます。これにより、全体として卵型の柔らかいフェイスラインが形成され、目元がパッチリとした印象を与えるようになります。
肌質に関しては、皮脂腺の縮小によって毛穴が劇的に引き締まり、角質層の水分保持力が高まるため、陶器のような滑らかな肌触りへと変化します。一方で、皮脂バリアが低下するため、極度の乾燥肌や敏感肌に悩まされる当事者も少なくありません。
体毛については、腕毛や胸毛、すね毛などの体毛は徐々に細く薄くなり、伸びるスピードも遅くなります。しかし、髭(ヒゲ)に関しては極めて強固な毛根構造を持っているため、女性ホルモン投与だけで消失することはありません。経過画像で髭が完全に消えているケースのほぼ100%は、医療レーザー脱毛やニードル脱毛を並行して完了させているのが実情です。