軍事組織としての意思統一の欠如も深刻だった。大日本帝国陸軍の内部では、対ソ連の防衛を最優先として戦線拡大に反対する勢力と、中国戦線での圧倒的勝利を狙う強硬派が激しく対立していた。石原莞爾のように泥沼化を警告した幕僚の声は退けられ、組織の力学はより過激な拡大論へと流れていった。
さらに致命的だったのは、英米をはじめとする列強の動向に対する戦略的盲目さである。蒋介石政権を背後から支える「援蒋ルート」の存在と、欧米諸国の経済的威圧を過小評価した結果、日本は自ら国際的な包囲網を強化させる悪循環に陥った。大陸での軍事行動は、やがて太平洋を舞台とする世界大戦への不可避な導火線となっていった。