編集部が実施したアンケートや栄養士への独自取材において、プロテインダイエットで「痩せるどころか太った」と回答した利用者の行動パターンを追跡すると、極めて明確な共通項が浮かび上がってきました。体脂肪が増える生理的メカニズムは、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る「オーバーカロリー」以外に存在しません。しかし、プロテインを摂取する当事者は「体に良い健康行動をとっている」という強固な主観的確信を抱いているため、自覚のないままカロリー過多へ滑り落ちています。
失敗者が無意識にハマっている第1の落とし穴は、「普段の食事を変えずにプロテインを単にプラスしている」点です。一般的なプロテイン粉末は、1食あたり約80〜120kcalを含みます。「筋肉をつけて代謝を上げるため」と信じ込み、朝昼晩の食事を通常通り食べた上でプロテインを1日2回飲めば、それだけで毎日約200kcal前後の余剰エネルギーが発生します。これは1か月で約6,000kcal、体脂肪に換算するとおよそ0.8kgの増量に直結する計算です。
第2の要因は、行動経済学や心理学で指摘される「モラル・ライセンシング効果(健康的な良い行動をしたことで、その後の不健康な行動を自分に許してしまう心理現象)」です。「プロテインを飲んだから代謝が上がっているはず」「タンパク質を補給したから基礎代謝で消費される」という無意識の免罪符が働き、ランチのパスタを大盛りにしたり、夕方に甘いラテやスイーツを口にしたりする心理的ブレーキが外れてしまう実態が多数確認されています。
そして第3の盲点が、「割るもの」によって生じる隠れ糖質と脂質です。プロテイン独特の風味を消して飲みやすくするために、市販の牛乳や砂糖入りの調整豆乳、フルーツジュースでシェイクするケースが目立ちます。しかし、牛乳200mlには約130kcal・脂質約8g・糖質約10gが含まれており、粉末と合わせると1杯で250kcal近くまで跳ね上がります。これはコンビニのおにぎり1個分を優に超える熱量であり、ダイエットを目的とするならば致命的な計算違いを生み出す原因となります。