スズキ株式会社を率いる鈴木俊宏社長は、かねてより「小・少・軽・短・美」の哲学を掲げ、過剰な肥大化を続ける自動車産業の中で独自のポジションを築いてきた。電動化と知能化の荒波が押し寄せる現代においても、庶民の生活を支える適正価格の車を提供し続ける姿勢は高く評価されている。
ソリオはその思想が最も色濃く反映されたパッケージだ。限られた全長と全幅の中で、軽自動車より広く、ミニバンより扱いやすいサイズ感を驚くべきコストパフォーマンスで具現化している。だからこそ、コストと軽量化のトレードオフとして遮音材の削減や足回りの割り切りが生まれるのも事実だ。
ソリオに対する不満の多くは、この「徹底した引き算の美学」と、ユーザー側の「上位クラス並みの完璧さを求める欲求」との摩擦から生じている。自動車メーカーが直面する原価高騰の中で、何を削り、何を守るのかという設計思想を理解することが、後悔を防ぐ第一歩となる。