なぜ子どもたちは、何度繰り返しても「キャベツの中から」に飽きることなく歓声をあげるのでしょうか。スイスの発達心理学者ジャン・ピアジェが提唱した「象徴機能(見立て・つもり遊び)」の理論に基づくと、この手遊びには子どもの認知発達を促進する決定的な要素が凝縮されています。
1歳半から2歳頃になると、子どもは目の前にある物体を別の何かに見立てる能力を獲得し始めます。握り拳のグーを「キャベツ」と捉え、そこから飛び出す指を生きている「あおむし」として認識する作業は、子どもの脳内で高度な抽象的思考と言語概念の連結を促します。さらに、親指から小指へと指の太さに応じて家族の役割を割り当てる設定が、自他の認識や家族関係への情緒的理解を深める役割を果たします。
運動機能の側面では、大脳の広範な領域を刺激する「指先の巧緻性(微細運動)」の向上が挙げられます。人間の脳の運動野において、手指を司る領域は全身の約3分の1を占めています。一本ずつ独立して指を曲げ伸ばしする動作は、スプーンやお箸の持ち方、衣服のボタン掛け、鉛筆の把持といった生活習慣行動の土台作りに直結します。
保育現場におけるピアノ伴奏の視点でも、この楽曲は秀逸です。コード進行は基本的に「C(ド・ミ・ソ)」と「G7(ソ・シ・レ・ファ)」の2コードのみでほぼ全編が構成されており、簡易な楽譜であればピアノが苦手な保育士でも即座に伴奏できます。鍵盤を見ずに子どもたちの目を見ながら弾けるため、アイコンタクトを交わしながらテンポを自在に操り、園児の感情の高まりをリードすることが容易です。