『あまちゃん』が放送された2013年4月当時、橋本愛の当時の年齢は17歳(高校2年生)でした。すでに映画『告白』(2010年)や『桐島、部活やめるってよ』(2012年)で数々の新人賞を総なめにし、若手屈折派の筆頭として映画界から高い評価を受けていましたが、朝ドラへの本格進出は彼女の知名度を一気に国民的なものへと押し上げました。
作中で演じた「足立ユイ」は、岩手県北三陸の町で「ミス北鉄」に選ばれ、アイドルを夢見て上京を目指す美少女です。しかし、父親の病気や東日本大震災の発生によって東京行きを二度も阻まれるという、あまりに過酷な運命を背負わされました。当時の視聴者の胸を締め付けたのは、その透明感あふれる美貌の裏に潜む「地方特有の閉塞感」と「持たざる者への嫉妬」を、17歳とは思えないリアリティで演じきった橋本愛の演技力の高さです。
特に、純朴で愛されるヒロイン・アキとの対比において、ユイの抱く孤独やエゴイズムを一切濁さずに表現したストイックな芝居は、脚本を手掛けた宮藤官九郎の狙いを見事に具現化していました。単なる「主人公の可愛い相棒」にとどまらない立体的なキャラクター造形こそが、本作が名作と呼ばれる大きな要因となっています。