作中でニックが愛用する帽子には、アニメーターたちの緻密な計算と敬意が込められている。彼のトレードマークである緑のハワイアンシャツに合わせられたサンバイザーやキャップは、1970年代のヴィンテージなアメリカン・ワークウェアが元ネタだ。幼少期のトラウマから本心を隠して生きてきた彼の「目線を隠すシールド」としての心理的役割を果たしていた。
物語が展開するにつれ、彼が帽子を脱ぐ瞬間や被り直す角度には明確な心理的変化が投影されている。周囲に心を開かない野良キツネ時代の装いから、真の警察官として誇りを持つまでのアイデンティティの変遷。この些細な小道具ひとつに、制作陣の圧倒的なこだわりが息づいている。