退院したその日から始まる、24時間ノンストップの孤独な戦い。近年、日本社会で深刻化している「産後うつ」の魔の手は、真面目で責任感の強い母親ほど捉えやすい。新生児が泣き止まない夜、母乳が出ない焦り、ホルモンバランスの急激な乱高下。孤立無援の育児に追い込まれる前に、どれだけ早く専門家の手が届くかが問われている。
ここでは、退院後のフォローアップ体制が極めて綿密に張り巡らされている。助産師による母乳外来やメンタルチェックはもちろん、産後ケア入院(ショートステイ・デイケア)の受け入れ体制を強化。疲弊した母親が気兼ねなく赤ちゃんを預け、数時間でも深く眠り、温かい食事をとるための「レスパイト(息抜き)」の機会を積極的に用意する。医療従事者と臨床心理士、地域支援が有機的につながり、SOSを見逃さないセーフティネットが日常的に機能している。