ドライカレーとキーマカレーの最大の違いは、「料理の分類基準(素材か状態か)」と「発祥した国」にあります。多くの人が同じような料理と錯覚してしまう背景には、日本の家庭料理やカフェメニューにおいて双方が混ざり合って定着した経緯があります。
まず、キーマカレーの「キーマ(Qeema / Keema)」とは、ヒンディー語やウルドゥー語で「細切れ肉」や「ひき肉」そのものを意味する言葉です。つまり、インドにおけるキーマカレーは「ひき肉を使って作られたカレー料理全般」を指す具材由来の名称であり、汁気の有無は定義に含まれていません。
これに対して、ドライカレーは「ドライ(Dry=乾いた、汁気のない)」という英語を冠した日本生まれの和製英語・洋食カテゴリーです。日本の調理学会や洋食の現場におけるドライカレーの定義は「水分を極力抑えた、あるいは汁気のないカレーの総称」であり、使用する具材がひき肉であるかどうかに縛られません。
「ひき肉という素材」を指すインド料理と、「汁気がない状態」を指す日本の洋食。この根本的な視点の相違が、長年にわたる混同の根本的な原因となっています。