なぜここまで亜鉛が重視されるのか。それは、体内で300種類以上もの酵素反応に関与しているからに他ならない。細胞分裂が活発な組織ほど必要とされるため、不足の兆候はまず舌の表面にある「味蕾(みらい)」や皮膚、毛髪といった代謝回転の速い部位に現れる。
「何を食べても味が薄く感じる」「特定の味がぼやける」といった味覚障害は、典型的な欠乏のシグナルだ。舌の細胞が正常に生まれ変われなくなることで、味覚センサーが麻痺してしまう。また、爪に白い斑点ができる、傷の治りが遅い、風邪をひきやすくなるといった日常の些細な不調も、体内プールの枯渇を雄弁に物語っている。