株式会社ファーストリテイリングでの社長就任劇は、今も日本のビジネス史における鮮烈なエピソードとして語り継がれている。創業者である柳井正氏の直近で経営の真髄を叩き込まれた時期は、彼の経営者人生において最大の転機となった。巨大組織のスピード感を維持し、成長への確執を突破する試行錯誤のなかで、彼はリーダーシップの真諦を掴んでいった。
株式会社ローソンでの手腕も目を見張るものがあった。サントリーホールディングス社長に転じた新浪剛史氏の後任として株式会社ローソンの舵取りを引き継いだ際も、加盟店オーナーとの信頼構築を最優先に掲げた。「現場が主役である」という揺るぎない信念が、加盟店のモチベーションを高め、過酷なコンビニ競争を勝ち抜く推進力となったのである。