保安検査を無事に通過できたとしても、次に待ち構えているのが巡航中の機内環境という物理的なハードルです。現代の旅客機は機密性が高く与圧されていますが、巡航高度(約10,000〜12,000メートル)飛行時の客室高度は標高約1,800〜2,400メートルと同等、すなわち地上約0.75〜0.8気圧まで低下します。
ボイルの法則が示す通り、周囲の圧力が低下すると気体の体積は反比例して膨張します。地上の1気圧(約1,013hPa)で密封充填されたポテトチップスなどのスナック菓子の袋は、上空に到達すると内部の空気圧によってパンパンに張り詰めます。強度の低いシール部分や薄いアルミ蒸着フィルムのパッケージは、気圧差に耐えきれずに機内でお菓子の袋が突然破裂する事態を引き起こします。静寂に包まれた機内で「パーン!」という破裂音が響き渡れば、周囲の乗客を驚かせるだけでなく、破片や油分が座席や他人の衣服に飛散する二次トラブルに直結します。
このトラブルを防ぐための機内お菓子気圧破裂対策として有効なのは、搭乗前にパッケージの端に針や安全ピンで微細な穴を開け、上からセロハンテープを貼っておく手法や、あらかじめ密封容器(タッパー等)に移し替える工夫です。袋物を開ける際も、水平飛行に移って気圧が安定した段階で、袋の端をハサミで小さく切ってゆっくり空気を逃がす配慮が求められます。
また、見落とされがちなのがチョコレート機内持ち込み注意点です。機内の空調は通常22〜24℃程度に保たれていますが、直射日光が当たる窓際や、座席下の手荷物入れの中で暖房の温風吹き出し口の近くに置かれたバッグ内部は、局所的に30℃近くまで上昇することがあります。溶けたチョコレートが包装の隙間から染み出し、お気に入りの服や機内備品を汚してしまう事故は極めて多いため、保冷バッグを活用するか、熱に強い焼き菓子タイプのチョコを選ぶのが賢明です。