なぜ歌舞伎役者は見得で寄り目をする理由とは?歴史と演出の真相を解剖

なぜ歌舞伎役者は見得で寄り目をする理由とは?歴史と演出の真相を解剖

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なぜ300年以上前の演出様式である「見得」が、CGや特撮が当たり前となった現代人の脳をも揺さぶり続けるのでしょうか。演出心理学の視点から見ると、見得は「動から静への急激なコントラスト」によって人間の脳内にドーパミンを大量放出させる、完璧に計算された認知ハックだからです。

人間は動いている物体を無意識に目で追いますが、その動きが極限のスピードから「0秒で完全静止」へ移行した瞬間、脳の視覚野は強烈な刺激を受けます。そこにツケ打ちの打撃音と大向うの叫びが重なることで、視覚と聴覚のマルチモーダルな覚醒が引き起こされます。写実的なドラマにはない、様式美だからこそ到達できる脳の快感原則が見得には組み込まれています。

最後に、歌舞伎の「見得」を心から楽しめる人と、観劇においてアプローチを変えるべき人の判断基準を提示します。

【歌舞伎の見得に深く心酔できる人】
・アニメや漫画の必殺技シーン、決めゴマのダイナミズムが好きな人
・ライブコンサートやスポーツ観戦で、会場全体が一体化する熱狂を愛する人
・生身の人間の筋肉、体幹、瞬発力が生み出す肉体美に感動を覚える人

【観劇にあたって意識の切り替えが必要な人】
・海外の映画や現代演劇のような、日常会話に近いリアルな演技だけを好む人
・様式的なお約束(ストップモーションや誇張されたセリフ回し)に照れを感じてしまう人
こうした傾向のある人は、まずストーリーの筋書きを追うのではなく、「江戸時代に作られた実写版スーパーヒーローショー」として視覚のエンターテインメントに身を委ねてみることをおすすめします。一度その波長が合えば、見得が決まるたびに背筋を電撃が走るような感覚を味わえるようになります。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。