殖産興業とは、明治政府が推進した「西洋の先進技術や制度を導入し、国内の産業・資本主義経済を育成して国を豊かにする政策」の総称です。「殖産」は生産を増やして産業を増殖させること、「興業」は新たな事業・産業を起こすことを意味します。
明治維新直後の日本がこの政策を最優先で進めた目的と理由は、明確な危機感にありました。江戸幕府末期に結ばされた「日米修好通商条約」をはじめとする不平等条約により、日本には関税自主権がなく、治外法権を認めさせられていました。当時の国際社会は弱肉強食の帝国主義の時代であり、アジア諸国が次々と欧米の植民地に転落していくなか、日本が独立を維持するためには経済力と工業力を急速に引き上げて国力を欧米並みに揃えることが至上命題だったのです。
外貨を獲得して経済的な従属を防ぎ、不平等条約の改正を勝ち取るための絶対条件として、明治新政府は国家主導の大規模な近代化政策へと舵を切りました。