本作最大の見どころは、クライマックスで明かされる鮮やかな伏線回収と、コックリという少女の真実です。物語終盤、フウ家の3姉弟や赤星の罠によってダー子とボクちゃんは絶体絶命の危機に陥り、銃撃を受けて海へと沈みます。しかし、これこそがダー子が仕組んだ最大の偽装工作でした。
コックリの正体は、誰の血も引いていない、身寄りのないただの貧しい少女でした。彼女は嘘をつくのが苦手で、相手の問いかけにコクコクと頷くことしかできなかったため「コックリ」と名付けられていたのです。しかし、ダー子と過ごす中で本物の気品と深い慈愛を身につけ、偽物でありながらフウ家の人々の凍てついた心を溶かしていきます。
そして驚くべきは、亡くなった当主レイモンド・フウの真意でした。レイモンドは金と欲望にまみれて互いを憎み合う実の子どもたちに絶望し、「実体のない架空の隠し子ミシェル」を遺言書に記すことで、本当に心清らかな人物が一族を救うことを願っていたのです。執事のトニーもまた、主人の真意を汲み取り、ミシェルとして現れたコックリが本物の後継者にふさわしい器量を持っているかを見極めていました。
最終的にコックリは遺産を私物化することなく、フウ家の資産を福祉財団に寄付し、3姉弟それぞれの本来の才能と情熱を解放する道を選びます。「嘘から出た真(まこと)」というシリーズの哲学が、見事に昇華された結末となりました。