本作は、当時のテレビドラマ業界の大きな転換点とも密接にリンクしていた。同時期に大ヒットしていた警察ドラマ『太陽にほえろ』でマカロニ刑事を演じ、一躍時代の寵児となった萩原健一。彼が『太陽にほえろ』を衝撃的な形で降板した直後に挑んだのが、この『傷だらけの天使』だった。優等生的なヒーロー像から一転、社会の底辺で泥臭く生きるアウトローを全身全霊で表現したことで、彼の役者としてのカリスマ性は不動のものとなった。
また、日本を代表する映画会社である東宝がテレビ制作に本格参入し、映画手法のカメラワークやシャープな照明技術を贅沢に投入したことも成功の大きな要因だ。従来のテレビ番組の枠組みを超えた洗練された映像美は、その後の日本の探偵ドラマやアクション作品のフォーマットを決定づけた。