最も画数の多い漢字の真相!84画の幻の苗字から128画の謎まで徹底解剖

最も画数の多い漢字の真相!84画の幻の苗字から128画の謎まで徹底解剖

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近年の激辛グルメブームやコンビニ各社の商品化によって、日本国内でも一躍有名になったのが中国・陝西省の郷土料理「ビャンビャン麺」の漢字です。文字の総画数はフォントや字形によって56画から58画(一般的には57画)とされ、看板やパッケージにデカデカと印刷された姿は、一見すると漢字というより複雑な幾何学模様やバーコードのように見えます。

なぜこれほど複雑な漢字が、大衆的な庶民の麺料理のために考案されたのでしょうか。その由来と成り立ちには、中国の民間伝承に根ざしたしたたかな知恵とストーリーが存在します。

伝承によれば、清代のある貧しい書生が都へ向かう途中、現在の西安周辺で空腹に耐えかねて麺屋に立ち寄りました。出された幅広の麺は絶品でしたが、所持金がありません。そこで機転を利かせた書生が「この麺の文字を書いて看板に掲げれば、繁盛間違いなしの珍名になる」と店主に持ちかけ、即興でパーツを組み合わせた文字を考案し、代金代わりに支払ったとされています。

この文字を構成している要素は、穴、言、糸、長、馬、心、月、刂(りっとう)、辶(しんにょう)など、実に多岐にわたります。中国現地では、この極めて複雑な字を書くための「暗記歌(覚え歌)」が口伝で受け継がれてきました。

「穴ごもり、言(げん)を真ん中に、左右に糸、長が伸び、馬が真ん中を駆け抜ける。心を満たし、月を浮かべ、最後はしんにょうで大きく包む」――といった調子のリズミカルな詩を唱えながら筆を走らせることで、誰もがこの57画の怪物を正確に書き順通りに記すことができる仕組みになっています。つまり、ビャンビャン麺の文字は単なる難解さの追求ではなく、「語呂合わせ」と「広告宣伝効果」を極限まで計算し尽くした商業デザインの傑作だったのです。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。