福岡・博多の名物グルメといえば、豚骨ラーメンやもつ鍋、水炊きと並んで必ず名が挙がるのが「イカ刺し(活イカの姿造り)」です。今でこそ全国の海鮮居酒屋で見かけるようになった「店内にいけすを設置し、注文を受けてから生きた魚介を捌く」といういけす料理のスタイルですが、このビジネスモデルと調理法を日本で初めて考案したパイオニアこそが河太郎です。
佐賀県唐津市呼子町(よぶこちょう)から直送されるケンサキイカやアオリイカは、極めて繊細でストレスに弱い生き物です。わずかな水温変化や人の手のぬくもりでさえ命取りになるイカを、玄界灘の海水環境を忠実に再現した店内の巨大円形いけすで泳がせ、熟練の職人が数十秒で素早く捌くことで、向こう側が透けて見えるほどの透明度と、噛むほどに広がる濃厚な甘みを生み出しています。
身を刺身で堪能した後に残る「ゲソ(下足)」や「エンペラ(ひれ)」を、天ぷらや塩焼きに再調理してくれる「後造り(あとづくり)」のシステムも河太郎が誇る伝統の流儀です。特に揚げたてのイカ天ぷらは、サクサクの薄衣とレアな火入れによる驚くほどの柔らかさで、多くの食通を唸らせて止みません。