ひと口に「北欧パン」と言っても、国や地域、気候風土によってその表情は驚くほど多彩です。ここでは、押さえておくべき代表的な種類を詳細に解説します。
フィンランドの主食「ルイスレイパ(Ruisleipä)」は、ライ麦全粒粉とライ麦サワードウ、水、塩のみという極めてシンプルな原料で作られる国民的パンです。中心に穴が空いた円盤状のものが有名で、これはかつて各家庭の天井近くに吊るして長期保存していた名残です。噛み締めるほどに広がる独特の強い酸味と重厚なコクは、一度ハマると抜け出せない中毒性を持ちます。
デンマークの「ルブロ(Rugbrød)」は、ライ麦の粒やひまわりの種、亜麻仁(フラックスシード)、かぼちゃの種などをぎっしりと練り込んだ四角いパウンド型のハードパンです。薄くスライスし、バターを塗った上にスモークサーモンやニシンの酢漬け、レバーパテ、ゆで卵などを美しく盛り付ける伝統料理「スモーブロー(Smørrebrød=オープンサンドイッチ)」の土台として不可欠な存在です。
スイーツ系では、スウェーデンの「シナモンロール(Kanelbulle)」が外せません。本場のシナモンロールはカルダモンを隠し味に効かせたスパイシーな生地がベースであり、甘みと爽快感の絶妙なバランスが特徴です。10月4日の「シナモンロールの日」には国中で消費されるほどのソウルフードとなっています。