リスクを十分に把握した上で、「それでもコストを抑えて自分でフィン表面のホコリと軽度の汚れをリセットしたい」という方のために、事故を極限まで防ぐアルミフィン掃除手順をステップ・バイ・ステップで解説します。準備を怠った状態での見切り発車は絶対に避けてください。
作業にあたり、まずは以下の道具を揃えます。どれかひとつでも欠けると失敗の確率が跳ね上がります。
- エアコン洗浄スプレーおすすめ品(アース製薬「らくハピ エアコン洗浄スプレー Nextplus」など、中性〜弱アルカリ性の信頼できる大手メーカー品)
- エアコン専用マスカー(テープ付き養生シート)または大判ゴミ袋(45L〜70L)
- 養生用マスキングテープ
- ビニール手袋・保護メガネ・マスク
- 掃除機(隙間ノズル付き)および使い古した歯ブラシ
- 蓄圧式ハンドスプレー(園芸用の水鉄砲・霧吹きでも可。ぬるま湯を入れてすすぎ用に使用)
- タオル・雑巾(数枚)
ステップ1:電源プラグを抜き、完全放電と換気を徹底する
作業開始時の第一ルールは、エアコンの運転を停止し、必ずコンセントから電源プラグを抜くことです。リモコンで電源をオフにしただけでは待機電力が基板に流れており、液がかかった瞬間にショートして基板が一発で焼き切れます。また、プラグを抜いてから内部のコンデンサが完全に放電するまで、最低でも5分から10分ほど放置してください。揮発したアルコールや界面活性剤の成分を吸い込まないよう、部屋の窓を2箇所以上開けて換気扇を回します。
ステップ2:前面パネルとフィルターの取り外し・事前クリーニング
エアコンの前面パネルを上に持ち上げて外し、左右のエアフィルターを取り外します。フィルターの表面にホコリが堆積している場合は、掃除機で吸い取った後に浴室で裏面からシャワーを当てて水洗いし、直射日光の当たらない風通しの良い場所で完全に陰干しします。フィルターが濡れたまま戻すと、内部で即座に雑菌が繁殖する原因になります。
ステップ3:電装部の鉄壁ガードと養生シートの使い方
ここが作業の成否を分ける最重要ポイントです。本体右側にある電子基板・端子部分を、食品用ラップやビニール袋で何重にも隙間なく覆い、継ぎ目をマスキングテープで密閉します。「絶対に一滴も液を通さない」という意識で念入りに行ってください。続いて養生シートの使い方ですが、エアコン本体の下部から背面にかけてマスカーテープを貼り巡らせ、漏れ落ちた洗浄液がすべて中央のバケツに集まるよう、じょうご(漏斗)状のドレープを作って壁と床を隙間なく保護します。
ステップ4:フィン表面の乾式掃除(ホコリの吸引)
むき出しになったアルミフィン(銀色の金属板がギザギザに並んだ熱交換器)にいきなりスプレーをかけてはいけません。表面にホコリが付着した状態でスプレーすると、ホコリが水分を吸って粘土状に固まり、フィンの隙間を目詰まりさせてしまいます。まずは掃除機のブラシノズルを使い、フィンの目に沿って上下方向に優しくホコリを吸い取ります。横方向に強く擦ると極薄のアルミ板が簡単に曲がって通気性が損なわれるため、力加減には細心の注意を払ってください。
ステップ5:スプレー噴射と「すすぎの必要性と水漏れ対策」
スプレー缶を上下に5〜6回よく振り、アルミフィンから約5cm離して、フィンの向き(縦方向)に沿って上から下へと均等に吹き付けます。1台につきスプレー1本を使い切るのが基本ですが、一度に同じ箇所へ集中噴射すると液がドレンパンから溢れるため、左右にゆっくりスライドさせながら満遍なく塗布します。
そして、市販品のパッケージに「水洗い不要」と記載されていても、現場のプロが強く推奨するのがすすぎの必要性と水漏れ対策です。スプレーに含まれる界面活性剤がフィンに残ると、後から吸い込んだホコリを接着剤のように吸着し、わずか1〜2ヶ月で以前より激しいカビを発生させます。スプレー噴霧から10分ほど放置して汚れを浮かせた後、蓄圧式スプレーに入れた綺麗なぬるま湯(約1〜2リットル)で、フィンの隙間に残った薬剤を丁寧に洗い流してください。洗い流された水が屋外のドレンホースから順調にポタポタと排出されているかを必ず目視で確認しましょう。
送風ファンを掃除する場合の特記事項
フィンの奥にある筒状の回転羽根(シロッコファン)は、エアコンの中で最もカビが重度化しやすい部位です。ただし、フィン用のスプレーをファンに吹きかけることは絶対に禁止されています。ファンを掃除する場合は、必ず「送風ファン洗浄スプレー」として専用設計されたムース&リンスセット(代表格である「くうきれいエアコンファン洗浄剤」など)を使用してください。高粘度の泡をファンに密着させてカビを溶かした後、付属の中和リンスや大量の水で完全に洗い流す必要があります。ファンはフィン以上に水が四方八方に飛び散るため、プロ仕様の密閉型エアコン洗浄カバーを装着した上で作業しなければ、部屋中の壁紙が黒カビ混じりの汚水で全滅することになります。