敷地内に犬のフンを放置された場合、法的にはどのような罪責を問えるのでしょうか。適用される可能性のある主な法令と構成要件を整理します。
1. 軽犯罪法違反(第1条26号・街路や広場での汚物遺棄など)
軽犯罪法第1条26号では、「街路又は広場で、みだりに大小便をし、若しくはこれをさせた者」に対する拘留または科料が規定されています。他人の土地や公共の場所を汚損させる行為そのものを処罰する規定であり、旭川市で適用されたのもこの条文です。また、悪質ないたずらとして他人の業務や生活を妨害した場合には、同法第1条31号(他人の業務妨害)が適用される余地もあります。
2. 刑法第261条:器物損壊罪
刑法上の器物損壊罪は、他人の財物を「損壊」した場合に成立します。ここでいう損壊とは、物理的な破壊だけでなく、「物の効用を著しく害する行為」も含まれるのが判例の確立した立場です。例えば、自宅の玄関マット、敷き詰められた化粧砂利、人工芝、外壁、門扉などにフンが付着し、悪臭や汚れによって心理的・衛生的にその物が本来の機能を果たせなくなった場合、器物損壊罪の構成要件に該当します。法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料と定められており、決して軽い罪ではありません。
3. 刑法第130条:住居侵入罪
散歩中の飼い主が、犬に排泄をさせるために正当な理由なく他人の敷地、庭、ガレージ、アパートの共用通路などに足を踏み入れた場合、住居侵入罪(または建造物侵入罪)が成立します。過去の報道取材において警察関係者が指摘している通り、犬のリードを極端に伸ばして犬だけを敷地内に入らせた場合であっても、飼い主自身が不法立ち入りを意図・管理していたとみなされれば、土地所有者の意に反する不法侵入として追及対象になり得ます。
4. 自治体条例による過料・罰則
全国の多くの基礎自治体では、いわゆる「美化推進条例」や「犬猫のふん害防止条例」を制定しています。違反者に対して行政指導や改善勧告を行い、それに従わない悪質な飼い主に対しては2,000円〜数万円程度の過料(罰則)を科したり、氏名を公表したりする制度が運用されています。警察による刑事罰と並行して、行政処分の網も敷かれています。