世間の多くは「火災=炎に焼かれて命を落とす」と考えがちですが、消防白書が示す建物火災死亡原因の真実は全く異なります。死因の半数以上を占めているのは、炎ではなく「一酸化炭素中毒・窒息」です。
住宅建材やプラスチック製品が不完全燃焼を起こすと、極めて高濃度の一酸化炭素が発生します。無色無臭の気体を数回吸い込むだけで意識を失い、自力避難が不可能な状態に陥ります。炎が部屋全体に回る前のわずか数分間で生死が決まるため、早期発見が唯一の生存ルートとなります。
ここで致命的な問題となるのが、住宅用火災警報器設置義務の実態です。法改正により全住宅への設置が義務付けられて久しいものの、設置から10年を超えた機器の「電池切れ」「電子部品の寿命による作動不良」を放置している世帯が少なくありません。消防関係者の聞き取り調査でも、「警報器が鳴らずに避難が遅れた」という痛ましい現場が今なお後を絶たない実態が浮き彫りになっています。