奈良県斑鳩町に立つ世界遺産・法隆寺。その境内の非公開エリアで行われた最新の非破壊構造解析や木材年輪年代測定のデータは、寺院建設に投入された技術的・組織的リソースの巨大さを改めて裏付けた。法隆寺は単なる宗教的建築物にとどまらず、多様な技術者集団や地域勢力を集結させ、共通の目的に向かって協働させる国家プロジェクトの象徴だったのだ。
また、8世紀に編纂された『日本書紀』の記述を再読み解く試みも進んでいる。日本書紀に記録された外交文書や儀礼の様式からは、東アジア情勢の緊迫化に伴い、倭国(日本)が独立を保つためにいかに内部の統合を急いでいたかが読み取れる。「和」の思想は、国内の権力争いを鎮静化させ、外圧に対抗するための不可欠な国家防衛策でもあった。