レシピ通りに茹でたつもりなのに、「口の中がイガイガする」「舌にピリピリとしたエグみが残る」という失敗談は後を絶ちません。食品化学の視点から分析すると、エグみが残ってしまう原因は主に3つのミスに集約されます。
1つ目は「茹で時間の不足」です。たけのこの繊維は非常に緻密で、中心部まで熱が伝わってアクが溶け出すには最低でも40分以上の加熱が必要です。2つ目は「茹でた直後に急激に水で冷やしてしまうこと」。そして3つ目が「落とし蓋をせず、たけのこが水面から露出していたこと」です。
特に重要なのが「茹でた後、ゆで汁に浸けたまま完全に冷ます理由」です。加熱によって一度細胞の外へ溶け出したエグみ成分(ホモゲンチジン酸など)は、温度が下がる過程で米ぬかのデンプン粒子や脂肪分に吸着・固定化されます。熱い状態のまま急に水にさらすと、組織が収縮してアクがたけのこの内部に閉じ込められてしまいます。鍋ごと半日(6〜8時間程度)放置し、完全に冷めるまで待つ工程こそが、料亭のような澄んだ味わいを生み出す決定打となります。