SNSや野球コミュニティにおいて、長年にわたり誤認され続けている典型的な誤解がいくつか存在する。その代表格が「投手が自分でエラーをしたのだから自責点になるはずだ」という思い込みだ。
マウンド前のピッチャーゴロを投手自らファンブルしたり、一塁へ悪送球してピンチを広げ、その後に失点した場合、感情的には「投手の自業自得」と感じられる。しかし、公認野球規則9.16(a)において、投手の守備失策は他の野手(内野手や外野手)のエラーと寸分違わず同等に扱われる。規則上、マウンドに立つ選手は「投球を行うピッチャー」であると同時に「9人いるフィールダーの1人」という二重の役割を担っている。自責点とはあくまで「投球(ピッチング)の失敗に対するペナルティ」であるため、守備(フィールディング)でのミスによって生じた失点は、たとえ自作自演であっても自責点からはきれいに除外されるのだ。
また、近年の国際大会や延長戦でおなじみとなったタイブレークの自責点記録についても誤解が多い。無死二塁から始まるタイブレークにおいて、最初に二塁に立っている走者(いわゆるゴーストランナー)は、誰のヒットや四球でもなく大会規定によって置かれた走者である。したがって、この走者がバントや犠飛で生還しても投手の自責点には一切数えられない。防御率の悪化を恐れず、アウトカウントを堅実に奪うことが投手に求められる戦術的背景がここにある。