鼻の穴の入り口付近は医学的に「鼻前庭」と呼ばれる。このエリアの毛穴に細菌が入り込み、急性炎症を起こす病態が毛嚢炎であり、それが鼻腔全体に広がった状態が鼻前庭炎だ。さらに深部の皮下組織まで感染が波及し、硬いしこりを伴って赤く腫れ上がったものを、伝統的な俗称も含めて面疔と呼ぶ。
耳鼻咽喉科学の知見によれば、痛みの直接的な元凶の多くは皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌だ。鼻毛を強く引き抜いたり、乾燥した鼻くそを無理にほじくったりした際に生じた微細な傷から菌が侵入し、一気に増殖する。鼻の皮膚は軟骨と密接に張り付いているため、わずかな腫れでも組織の内圧が急上昇し、指先で触れただけでも飛び上がるほどの激痛が生じる仕組みだ。