スタジオジブリを率いる宮崎駿監督は、物語における「食」と「住」の描写に異常なまでの情熱を注ぐことで知られている。キキと居候先のパン屋夫婦――おソノさんとフクオさんとの交流の場である「ぐーちょきぱん店」も例外ではない。
制作当時、宮崎監督をはじめとするスタッフ陣はスウェーデンのストックホルムやヴィスビューへロケハンを敢行した。ヨーロッパの古い街並みと、日本の情緒が不思議な融合を果たしたあの特徴的な店舗デザインは、緻密な現地取材と圧倒的な想像力によって生み出された。ただの背景ではなく、登場人物たちの生活の息遣いそのものを描くアプローチが、30年以上の時を経ても色褪せない名作の強度を支えている。