現代の国際的な診断基準(DSM-5やICD-11)において、古典的な意味での「偏執病」という単独の病名はほとんど姿を消し、主に妄想性障害や妄想性パーソナリティ障害として再定義されています。一般にパラノイア 特徴 症状として挙げられるのは、以下のような思考と行動の様態です。
第一に、体系化された妄想です。統合失調症に見られる奇異で支離滅裂な妄想(「自分の脳が電波で操作されている」など)とは異なり、パラノイアの妄想は「配偶者が浮気をしている」「同僚が結託して自分を陥れようとしている」など、現実に起こり得るテーマで構成されます。論理の組み立て自体は極めて理路整然としているため、第三者が初対面で異常に気づくことは困難です。
第二に、感情や人格の荒廃が少ない点です。幻聴などの知覚異常は稀であり、妄想の対象となる特定の領域以外では、極めて高い社会適応能力や業務遂行能力を維持することが少なくありません。ネット上で「あの優秀な人物がなぜ」と驚きをもって語られる背景には、この病態特有の二面性があります。