近年の国内映画市場において、アニメーション映画が果たす役割は極めて大きい。圧倒的な集客力を誇るメガヒット作品の有無が、映画館全体の年間興行収入を大きく左右する構造が定着している。
巨大なムーブメントを巻き起こした『鬼滅の刃』シリーズの完結編となる『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』のように、社会現象化する超大作が公開される時期には、チケット代が改定された後であっても劇場に大勢の観客が押し寄せる。また、新海誠監督作品をはじめとする独創的な世界観を持つ作品も、リピート鑑賞を含めた強い動員力を誇る。
こうした大ヒット作の存在は、値上げの影響を一時的に相殺するほどの爆発的な収益を興行界にもたらす。しかしその反面、話題作への極端な依存はリスクも孕む。中規模以下の実写映画やアート系作品に足を運ぶ観客が減少し、映画文化の多様性が損なわれる懸念も拭えない。ヒット作で稼いだ資金をいかに次世代の映像文化の育成や常連客の繋ぎ止めに還元できるかが、今後の業界全体の課題となっている。