川嶋あいを一躍スターダムに押し上げたのは、ボーカル「ai」として参加したユニット・I WiSHのデビューシングル「明日への扉」(2003年2月発売)でした。フジテレビ系恋愛観察バラエティ『あいのり』の主題歌に起用され、累計出荷枚数100万枚(ミリオンセラー)を突破した平成を代表する大ヒット曲です。
多くの音楽リスナーが抱く「どちらが原曲なのか」という疑問に対する歴史的真実は明確です。川嶋あいが先に制作したのは卒業ソング「旅立ちの日に…」であり、メジャーデビューの企画段階において、番組の世界観に合わせて歌詞を「男女のピュアな恋愛物語」へとリライトしたものが「明日への扉」でした。
その後、2006年2月1日に川嶋あいのソロ名義8枚目のシングルとして、本来の歌詞とオリジナル構成を取り戻した「旅立ちの日に…」が待望の公式音源化を果たしました。両曲の構造的・物語的な相違点を以下の比較表で整理します。
「明日への扉」が《光る汗 Tシャツ 出逢った恋》と歌い出すのに対し、「旅立ちの日に…」は《桜舞う 季節に 旅立つ背中》と始まります。同じメロディラインでありながら、言葉の選択とテンポの違いによって、前者は恋のときめきを、後者は旅立ちの厳粛さと深い情感を描き出すことに成功しています。