演出を手掛けた福澤克雄監督の指揮のもと、撮影現場は常に本物のピンと張りつめた緊張感に包まれていた。中でも伝説として語り継がれるのが、剣道場で半沢と近藤が竹刀を交える激しい感情のぶつかり合いのシーンだ。脚本を超えた気迫がぶつかり合い、スタジオ内には演出陣すら息を呑む静寂が広がっていた。
実用本位の演技を超え、互いの魂をぶつけ合うようなテイクが何度も重ねられた。近藤が感情を爆発させて叫ぶカットでは、カットがかかった瞬間に現場から自然と拍手が湧き起こったという。徹底したリアルを追求する現場の熱量と、役者の覚悟が見事に結実した瞬間であった。