大正期を舞台にした名作といえば、大和和紀による『ハイカラさんが通る』を忘れてはならない。講談社の「週刊少女フレンド」で連載された本作は、矢絣の着物に袴をつけ、自転車で颯爽と駆け抜けるヒロイン・花村紅緒の姿を通して、自由と恋を追い求める新しい女性像を鮮烈に描いた。
シリアスな歴史的背景とテンポの良いコメディを融合させた構成力は、少女漫画の表現領域を飛躍的に広げた。女性の社会進出や価値観の動揺といった時代の息吹を巧みに掬い上げたこの作品は、半世紀近く経った今なお色あせることなく、多くのクリエイターにとって金字塔であり続けている。