あれほど隆盛を極めた回転ベッドが壊滅状態に追い込まれた契機は、1985年(昭和60年)2月13日に施行された改正風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)でした。この法改正により、ホテル業界の勢力図は劇的な激震に見舞われます。
法改正では、以下のような特定の設備を持つ宿泊施設が「店舗型性風俗特殊営業(4号営業・現2号営業等)」として明確に定義されました。
・回転ベッドなどの動力で動く寝台
・床面積の一定割合以上を占める鏡張りの壁や天井
・透明な浴室や過剰な遊技用設備
この規制基準に該当すると、学校や病院、図書館などの保護対象施設から一定距離(一般に200メートル以内)にある場所での営業が全面的に禁止されます。さらに営業時間の制限や立ち入り検査など、極めて厳しい監視下に置かれることになりました。
多くのホテル経営者は、一般的な「旅館業法」の枠組みにとどまり健全なホテルとして営業を続けるため、改装時に回転ベッドを撤去し、通常の四角い固定ベッドへと交換する道を選択しました。さらに、製造メーカーが相次いで撤退したことで専用のモーターやギアの補修用パーツが底をつき、一度故障すると直せない物理的な限界が訪れたことも、消滅を決定づける要因となったのです。