警察関係者や裏社会を取材するジャーナリストの間で、単に「ヒシ」や「菱形」と呼べば、それは日本最大の指定暴力団・六代目山口組を意味します。暴力団界隈では直接的な組織名を口にすることを避け、代紋の形状から「菱形(山口組)」「稲(稲川会)」「帯(住吉会)」といった符丁や隠語で呼ぶ文化が古くから定着しています。
その中でも「菱形」の重みは別格でした。最盛期には構成員・準構成員を合わせて4万人近い勢力を誇り、日本全国津々浦々にその威力を轟かせた歴史があります。「菱形の看板を背負う」という言葉そのものが、裏社会における絶大な威光と威嚇力を意味していた時代が長く続いたのです。