料金面では不利なプロパンガスですが、防災とインフラ持続性の視点に立つと評価は一変します。プロパンガス最大の強みは、独立した「分散型エネルギー」である点です。
過去の大規模地震(東日本大震災、熊本地震、能登半島地震など)の復旧記録を検証すると、地下配管の全域調査が必要となる都市ガスが完全復旧までに数週間から数か月を要したケースがあるのに対し、プロパンガスは敷地内のボンベ、メーター、配管の安全点検さえ完了すれば数日から1週間程度で個別再開を果たしました。ボンベに残存ガスがあれば停電時でも専用発電機やコンロを即座に動かせるため、災害拠点病院や避難施設でLPガスが優先採用されているのはこのためです。
一方、「なぜ全国どこでも都市ガスを使えるようにしないのか」という疑問には、導管敷設に伴う膨大なコストの壁が立ちはだかります。都市ガスの本管を道路下に埋設・延伸する工事費用は、道路1キロメートルあたり約1億円以上かかると試算されています。人口密度が高く需要が見込める都市部であれば投資を早期回収できますが、郊外や過疎地、地盤の硬い山間部では莫大な赤字となるため、導管を引くことが物理的・経済的に不可能です。これが「都市ガスエリア対象外」の地域が日本中に数多く残る本質的な理由です。